少数歯残存症例とコーヌス義歯

1.上顎少数歯残存症例にコーヌス義歯

 上顎の歯は、下顎のそれに比べて喪失する割合が高い。理由は、上顎の歯が下顎の歯による側方力を受けやすく、歯周病あるいは歯根破折が生じる可能性が高いことが挙げられる。また、唾液に触れる割合も上顎の方が少なく、う蝕が生じやすい。
 ここでは、上顎の残存歯数が5本以下のケースを6症例取り上げている。残存歯が健全歯で、動揺もなく、顎堤の条件が良好の場合以外の上顎少数歯残存症例には、コーヌス義歯を選択することが多い。
 コーヌス冠による支台歯の2次固定が可能であり、咬合力に対して抵抗できるのが一番の利点であろう。また、特に左右側に離れた支台歯があるケースに、例えば固定性ブリッジで1次固定したとしても、将来もしいずれかの支台歯に問題が生じた場合、マイナーチェンジでは対応できない。その点、コーヌス義歯ならば、将来の変化に対応しやすい。つぎに、口蓋を義歯床で覆わないので、発音障害が出にくい、違和感が生じにくいも利点の1つである。さらに、義歯を外して清掃できるので、ブリッジより歯の清掃がし易い。欠点は、費用が少し高めであり、審美的にはブリッジのセラミック冠に軍配が上がる等が挙げられるが、総合的には遥かにコーヌス義歯のほうにメリットが多いと考えている。