23.根面アタッチメント辺縁歯肉の開放(2)

 2016年11月初診,68歳男性.当院,代診の先生の症例.保存可能な左下3,右下5にOPAアタッチメントを,左下2,右下3に根面板を製作し,17年2月に上下顎に総義歯を装着した.この時の下顎義歯は,支台歯辺縁歯肉を義歯床で覆う形態であった.

 スライドに掲載していないが,2018年3月,根面カリエスにて右下5のアタッチメントを作り直した.他の残存歯にも根面カリエスが認められた.患者さんは,よく飴を舐めていたとのことで,可能な限りやめて頂くようにお願いし,経過を観察することした.
 20年2月のリコール時,残念ながらう蝕が進行し,これ以上の放置は危険であることから再治療を行うことになった.今回は,積極的に支台歯辺縁歯肉の開放を行いたい旨を説明し,同意して頂いた.まず,旧義歯を改変し,特に舌側の開放部に異物感が生じるか否かの反応を確認した.つぎに6月,左右側に分けて歯冠長延長術を行い,歯肉縁上歯質の確保を行った.9月,OPAアタッチメントおよび根面板を再製作した.旧義歯を用いての咬合圧印象を行うことで咬合採得も同時に行った.デンチャースペースが十分とれるため,上部構造体は義歯床に埋め込む形態とした.

 2020年11月,再初診終了時の状態.今度は根面カリエスに罹患しないことを祈念している.